バ美肉とは、主に「バーチャル美少女受肉」あるいは「バーチャル美少女セルフ受肉」の略、バーチャル美少女として受肉することを指す。
「バ美肉」自体に元の性別を限定する言葉は含まれていないが由来から主に「男性が美少女の3DCGモデルやイラストのアバター(化身)・依り代を用意し、そこへ魂として入ること」、特にその状態で「バーチャルYouTuberなどのように活動すること」やあるいは「VRChatなどのバーチャル空間へ顕現すること」を短く表現する言葉として扱われている。
バ美肉であることは多くの場合"自称・表明する"あるいは"公称される"ものであり、概ね「明確に、中身が男性のバーチャル美少女である」ということを説明するために「バ美肉」という表現が使われている。
なお「バ美肉」も基本はアバターの一種で「その人の分身でありその人本人でもある」ため、常識的な配慮は必要となる。またあえて本人とキャラを分けている場合もあるため、そうした場合は混同しないよう注意しよう。
※人によっては「バ美肉」と呼ばれうる状態の人でも、あえてバ美肉と自称しない・あるいはバ美肉と言う言葉を避ける人もいるため、そうした方が相手の場合は失礼のないように必要な配慮をしよう。
概要
「バ美肉」という言葉自体は長い名称を略して自然発生的に生まれた造語・スラングであり、そのキャッチーさから広まり、非常に広い意味で使われるようになっていった。そうした背景からバ美肉に"厳密な定義"は存在しない。具体的な初出の詳しい情報は下記「初出」の項を参照。
当初は「バ美肉おじさん」、「"バーチャル美少女に受肉してなっている"+"おじさん"」と表現されていたが、言葉として広まる際に"おじさん"が省略された「バ美肉」という言葉と印象ばかりが先行して広まり、「バ美肉」単体でも「男性が美少女キャラになる」というニュアンスで使われるようになっていった。
原義を辿る、あるいは意味を広くとれば、元の性別に関わらず女性でも美少女キャラを着ていれば「バ美肉」と呼ぶこともできるだろうし、あるいは「バーチャル美少年受肉でバ美肉」といった使い方もできるかもしれないが、基本は「男性が・美少女キャラを」を表す言葉となっている。
使われ方を辿ると、そこから転じて「創作上キャラクターで、男性の精神が別の女性の身体へ宿ることなど(男→女のTSF)を"バ美肉"と表現する」という例も見られる。これはバーチャルではない場合にも使われている(バ美肉でなく創作上"実体のある美少女への受肉"である)ことが多く、言葉としてはやや不適当とも言える、言葉の表層的なニュアンスだけを引用してしまっている状態である。バーチャルでない場合は「バ美肉に"近いもの"」でもいわゆるバ美肉ではないと言えるだろう。
ネット上では古くから「男性が女性として活動する」という行為はあり一般的には「ネカマ」などとも表現されてきたが、「いわゆるネカマ」は"元の性別を隠して騙す"といったニュアンスが大きく「元の性別を公表しているオープンなネカマ」を適切に表現することが難しかった。
当然だが「男性が女性キャラクターの姿を用いて活動する」「美少女キャラをアバターとして着る」という行為もバ美肉と言う言葉よりも古くから存在しており、典型例とされる男性が美少女の3DCGモデルやイラストをモーションキャプチャーなどによって動かすといったものもバ美肉以前から存在していたが、短く表現することが難しく(中の人がおじさんなら)「バーチャル美少女おじさん」「美少女アバターおじさん」「kawaiiおじさん」などと長い呼び方をされていた。
2018年6月頃に「バ美肉おじさん」という短い言葉が誕生してからは、さらにおじさんも省略した「バ美肉」がそうした行為を短く的確に表現する言葉として広く使われるようになっていった。そうした経緯もあって基本的に「バ美肉」は中の人が男性である場合を指し、女性に対して使われることは異例なものとされる。
なおバ美肉は基本的に「自由に扱える体」、バーチャルYouTuberのように自由な活動やVRChatなどの活動に利用できる体を得ることを指すことが多く、単に「ゲーム内で美少女キャラを操作する」といったことまでバ美肉と呼ぶことは(意味を広義に取れば無理ではないものの)異例なものとされる。
ちなみにバ美肉に限らない話ではあるが、異性の姿を求めるからと言って"性同一性障害"などを抱えているとは限らない。生身の性別・精神の性別などとは関係なしに何かしらの理由、「かわいい姿になりたい」「きれいになりたい」(そしてちやほやされたい)などの気持ちから美少女の姿を選んでいるだけという人ばかりだろう。
人に見せるために身だしなみを整える・姿を綺麗にする、つまり化粧のようなものだ。どちらかというと化生かもしれないが。
初出
- 古来:美少女キャラをアバターに用いる男性自体は古くからいた
- 2017年頃~:"バーチャルYouTuber"や"VRChat"などの影響でアバターを作って動かすことが流行
- 2017年11月頃:美少女キャラアバターの男性の中で「バーチャルのじゃロリ狐娘Youtuberおじさん」が特に有名となる。
- 2018年4月7日:2Dキャラでの有名なバーチャルライバー「月ノ美兎」3Dモデルでの配信で"肉の器"と発言し、そこから"受肉"と表現され"バーチャルへの受肉"といった表現が広まっていった。(バーチャルで受肉、バーチャル受肉という表現自体はそれより少し前から少ないながらある)
- 2018年5月29日頃:漫画家「リムコロ」とイラストレーター「巻羊」が美少女アバターキャラの「りむ」と「まき」として"バーチャル受肉布教"として動かせる2Dアバターの制作解説を始める。
- 2018年6月4日頃:美少女アバターキャラ「魔王マグロナ」の「ukyo_rst」がボイスチェンジャーを使って配信(lv313606893)。翌日まとめ動画を投稿し、優れたボイスチェンジャー適性が発覚する。
- 2018年6月6日:「リムコロ(りむ)」「巻羊(まき)」「ukyo_rst(魔王マグロナ)」の他、「こるせ(いわし※魚)」「あるは(ゆうひ)」の5名が"バーチャル美少女セルフ受肉おじさん女子会ワンナイト人狼"を開催。
- 2018年6月7日:その翌日参加者「あるは」がそのイベントを"バ美肉おワ人狼"と略してツイート。ツイッター上ではこれが初出となる。
- ※ツイッター上ではこの時点からVRChat関係でも少しずつ使われ始める
- 2018年6月17日:"バ美肉おワ人狼"の五名が第一回"バ美肉おじさん人狼"を開催
- 2018年6月24日:第二回"バ美肉おじさん人狼"が通常のVtuber「名取さな」をゲストに開催
- 2018年6月25日:VRChat関係でも有名な「バーチャルのじゃロリ狐娘Youtuberおじさん」が"バ美肉"を言及、特にこれ以降からVRChat関係でも広く使われるようになる。
詳細・Twitterでさかのぼる「バ美肉」の初出
Twitterで「バ美肉」を検索すると、検索にヒットする「公開ツイート」内で最も早く登場するのは2018年6月7日であり、「バ美肉おワ人狼」という形式で言及されている。これはU.M.E.Projectというニコニコミュニティ(オーナー:ukyo_rst、バ美肉先の名前は「魔王マグロナ」)が開催した「バーチャル美少女セルフ受肉おじさん女子会ワンナイト人狼」という催しの略称であり、2018年6月6日夜に開催され、ニコニコ生放送でも配信されたものである。
省略しない「バーチャル美少女受肉」や「バーチャル美少女セルフ受肉」では上記の配信当日の2018年6月6日には言及されている。
さらに「美少女」を省いた「バーチャル受肉」という言葉は2018年2月2日には既に言及がある他、「バーチャルで受肉」という表現は2017年12月21日にはもう使われている。
ただ初出ではないが「バーチャルでの受肉という表現」が広まった大きな起点として元々2Dキャラクターでの有名なバーチャルライバーだった「月ノ美兎」が3Dモデルでの配信(2018年4月7日)で「肉の器」と発言しコメントで多数"受肉"と流れ、その日を境に「バーチャルへの受肉」という表現が徐々に広まっていっていることがTwitterで確認することができる。
なお2017年の半ば~12月頃から「バーチャルYoutuber」が爆発的に有名になっていったことでそこへ追随するようにバーチャルYoutuberとなる人が爆発的に増加していき「バーチャル美少女」となる人も既に現れている時期で、これらの派生語がより大きく広がっていく環境となっていた。ちなみにVRChatが特に広まり始めたのもおおよそこの時期?
そうした時勢から2018年5月29日に、漫画家の「リムコロ」とイラストレーターの「巻羊」がそれぞれキャラクターの「りむ」と「まき」という姿となったYoutubeチャンネル「りむとまき」で「バーチャル受肉布教」と銘打ったハウツー解説動画シリーズ(このシリーズは「バ美肉」という呼称が普及したことを受けて一旦シリーズ/動画タイトルが「バ美肉布教」に変更されていたが、現在は「バーチャル受肉布教」という表現に戻っている)がYouTubeにて配信・投稿が開始され、キャラクターの姿になることをバーチャル受肉と表現することがさらに広まっていくことがTwitterで確認でき、
そこから「りむとまき」の解説による布教や勧誘によってバーチャル受肉を試みる人が広がっていく中で「りむとまき」が近しいイラストレーターも巻き込んでの上記の「バ美肉おワ人狼」の催しへと至り、そこから「バ美肉」という言葉がピックアップされて広く使われ始めたのだと考えられている。なおこの当初は「バ美肉おじさん」といった使われ方をされてたが、そこからさらに短縮されて「バ美肉」自体に男性であるというニュアンスを含めて使われるようになっていった。
時系列的には「受肉」(3D系)→「バーチャル受肉」(2D系)→「バーチャル美少女受肉」(バーチャル美少女セルフ受肉おじさん女子会ワンナイト人狼→略してバ美肉お女ワ人狼→バ美肉おじさん→)「バ美肉」と発展していったことが見える。そして短さと語呂のよさから「バ美肉」という言葉が特に広まったようである。
(ちなみにこの初出とされるものは身内向けに使い始めた略称・スラングであり元々はバ美肉と言う言葉自体を広める意図は無かったとのこと。"バ美肉おワ人狼"の人々には広がりにむしろややとまどっていた人もいる。)
一応、受肉を使わない「バーチャル美少女」という表現だけで言えば「(特に電子的な)仮想の美少女」をあらわす表現として古くからありバーチャルYoutuberが増え始めた頃には自称する人も現れ、そこから「バーチャルのじゃロリ狐娘Youtuberおじさん(※2019年10月現在:~元Youtuber~)」が有名になってくると(2017年12月ごろから)「バーチャル美少女おじさん」や「(男性が)バーチャル美少女になりたい/なる」といった表現が氏を中心として使われるようになっている。
ただし「バーチャル美少女になる」といった表現でもVRChatへ向けて広く頻繁に使われていたようなツイートの記録は無く、バーチャルをつけず単純に「美少女になる」といった表現の方がはるかに多くみられるため、「バ美肉」とVRChatにおける"バーチャル美少女"との間に特別な関連性は求めにくいだろう。(Twitterで調べる限りでは「他所でバ美肉という言葉が生まれてからそれがVRChatでも利用されるようになった」のだと考えざるをえない)
補足
上記の情報はTwitter上で確認できる限りの情報であり、他の場所特にバ美肉のホームグラウンドの一つである「VRChat」などでさらに古くから言及されていた可能性も否定できないが、VRChat他ではログを確認することができない・その他でも困難なため初出について厳密に検証することができない。
ただTwitterで「VRC 受肉」や「VRChat 受肉」「VR受肉」など+「Until:2018-04-06」(2018年4月6日以前のツイート投稿=月ノ美兎3D配信前)で検索をかけた所見つかるのは無関係なログと数人のツイートのみ、(月ノ美兎3D配信から2か月弱・りむとまきの布教以前)5月28日以前の投稿に範囲を広げてようやくちらほらと日付が開く程度だが使われるようになっていることが確認でき、また5月29日以降(りむとまきの布教後)からは毎日のように使われるようになっている。
「受肉」などの表現自体はVRChatなどでも稀に用いられる表現だったが、「バ美肉」は「広くTwitterでも使われ始めたから、既に使っていたVRChatのユーザーもTwitterで使い始めた」という見方も不可能ではないものの「バーチャル受肉などの表現が広まってVRChatのユーザーなどもそこから知って使い始めた」と考えるのが分かりやすい流れだろう。
また「受肉」という表現を含めて「りむとまき」の布教や「バ美肉おワ人狼」の前後で使用頻度が劇的に変わっていることが確認できるため、厳密な初出がどうであれ少なくとも"バ美肉"の広まった起点は魔王マグロナからであるという点は断言して良いだろう。そして検証不能な情報を無いものとして考えるのなら、現状ではそれが初出だと考えられていると言える。
なおこの辺りのことを調べると早い段階から「"バーチャル受肉"や"バ美肉"はVRChatの用語」だと言うツイートが見受けられるが、これらもあくまで「同じような状態が普通に存在していたが、そのことを気軽に表現できる言葉が無かった所に丁度良い言葉が生まれたのでそれがすぐに浸透しただけ」だとも十分考えられる。"バ美肉"という言葉が広まった要因の一端がVRChatだったというのもおそらく間違いではないだろうが、その分「どこが流行の大本なのか」が分かりにくい状態ではあった。
(現在この点(VRChatとの関連)をよく言及して解説しているのは、当記事でもそのような解釈を含めて記載されていた期間が長いため、理解を促すために補足をしている。ちなみに"wikipediaの「バ美肉」の項目"では上記の「バ美肉おワ人狼」がバ美肉の語源であると断言されている。)
「ネカマ」と「バ美肉」の違い
広義的には"バ美肉はネカマの一種"と言えるが、言葉としての扱われ方・狭義的な意味では異なるものである。ネカマを広義的に「ネット上で女性を演じている男性」と定義すればバ美肉はネカマの一種とは言える。
しかし「いわゆるネカマ」は通常、当人がそれを演じている場で自称するものではない。いわゆるネカマは「対外的には中身の男性であることを隠して女性として振舞う」というものを指すことが多く、"中身が男だと思われてしまってはダメ"、(その場で)ネカマだと自称する=中身を公表したらその時点で"いわゆるネカマ"ではなくなるとすら言える。例えば「ネトゲやSNSのアイコンなどで女性キャラなどを使いながらも男性として男性らしく振舞う男性」は騙す意図が薄いため"いわゆるネカマ"とは呼ばれにくい。特に通常のボイスチャットで男性の声を出てくればそれは"女性キャラを使っている男性"と見られる。もっと言うと"詐称する・騙す"使われ方、いわゆる"釣り・詐欺"に使われる背景から"ネカマ"という言葉自体が"悪質な嘘つき"というニュアンス、"相手の振舞い方を否定する罵倒"といった側面まで含まれてしまっている。
「いわゆるバ美肉(男性が美少女キャラを着ること)」は「その場で中身が男性だと公表するつもりでバーチャルな美少女の肉体になる」という使われ方が多く概ね"自称するもの"、あるいは"公称されるもの"である。そして公表しているなら「悪意をもって騙す意図は無いけども美少女キャラになりたい・男性なんだけども美少女として扱われたい」という意味合いで使われるものとなっている。バレるも何も公表するものなので例え通常のボイスチャットから男性の声が出てきても"バ美肉"である。公表し中身が男性であると承知してもらった上で"(男性の)美少女"として交流するわけである。一応もちろん"中身の性別を対外的には表明しない、いわゆるネカマのバ美肉"というものもありえないわけではないが、原義から「自称するもの」だったため"いわゆるネカマ"ほど強い否定的なニュアンスは持たない。
例えるなら「いわゆるネカマは"女装癖"、"紛れるような女装"、(オカマ野郎)」、「いわゆるバ美肉は"オカマバーのオカマ"、"男の娘カフェの女装メイド"、"歌舞伎の女形"」といったものに近いニュアンスで扱われる。
ただしもちろん、どちらも広義的にはかなり広い意味で扱われる言葉でもあるため「オープンなネカマ」や「中身を公表していないバ美肉」という表現も可能ではある。
細かい補足
受肉という表現について
「受肉」とは元々は宗教用語でキリスト教においてイエスの誕生、「地上世界で形を持たない神が人の形を持って地上世界に顕現すること」を意味する。実は結構重い由来をもった言葉である。
ただ創作などでは宗教や神に限らず単に「肉体を得る=世界での肉体を持たない者がその世界での肉体を得ること」という程度の意味合いで気軽に「受肉」という言葉が使われることがある。
そうした流れから「特定のバーチャル世界での肉体を持たない人間が、そのバーチャル世界で活動するための肉体を得る」ことも「バーチャル受肉」「受肉」と表現され始めた。(詳しくは「初出」の節へ)
「セルフ受肉」
「バーチャル美少女セルフ受肉」と表現されることもあるが、このセルフとはつまりセルフで用意した「イラストレーターや3DCGモデラーが自ら描いたイラストや自らが制作した3Dモデルをアバターとしている」という事である。
バ美肉の初出では「バーチャル美少女セルフ受肉おじさん~」と"セルフ受肉"と表現されていたため、「バ美肉=セルフ受肉でなければならない」という印象を持たれることもあるが、元々明確な定義で作られた言葉ではなく初出の方々も「バーチャル美少女受肉」とも表現することもあり、バ美肉はセルフでなければならないというわけではない。
例えばバ美肉という言葉が生まれる前から元々美少女キャラのモデルを用いて活動をしており、バ美肉という言葉を利用しているバ美肉界隈の重要人物と言える「みゅみゅ」氏も、自作キャラクターではなく「ニコニ立体ちゃん」の既存モデルを使用していることが多い。
「バ美肉という文化」が広まりある程度親しまれてきてからはセルフ受肉ができない人がプロのクリエイターへバ美肉用アバター用のデータ作成を依頼して用意するという例が増えてきた。
美肉?
「美肉」という言葉は「良質な食肉」という意味で使用されることがある(→北大路魯山人 フランス料理について - 青空文庫)。あるいは性的な意味合いをもって使用されることもある(→「官能小説」「美肉」で検索した結果へのリンク
)(→吉川英治「私本太平記 婆娑羅帖」- 青空文庫
)。
しかし「バ美肉」の「美肉」は「美少女受肉」の略でしかなく、カニバリズム的な意味やセクシャルな意味は持たないので誤解なきよう。
バーチャル美少女受肉おじさん
バ美肉の実際の人物像が「おじさん」である場合、「バ美肉おじさん/バーチャル美少女受肉おじさん」と表現される・自称することもあり、またこのバ美肉おじさんはバ美肉における典型例として扱われる。
「〇〇おじさん」という表現・呼称は古くからある。一応「女性を示す言葉」+「おじさん」という表現で有名なのは「バーチャルのじゃロリ狐娘Youtuberおじさん」だろう。
なお「おじさん」がバ美肉の典型例となるのはそもそも「受肉に必要となるソフトウェア・機材・技術を揃えるには相応の収入・知識のある、それなりの年の人間でないと難しい」という現実的な理由がある。性別に関しては「美少女になりたい」と思う人は男女問わずおり、かといって女性が美少女になるのは順当で、男性が美少女になることがやや特殊なために特別な呼称が用いられやすいからだろう。
(将来、機材やソフトの普及によっては将来的により低年齢化が進む、かもしれない)
バ美肉のステップアップ
バ美肉は美少女に受肉した時点がゴールとは限らない。むしろ「受肉してからがスタート」と言ってもいい。もし「美少女として暮らすためにバ美肉する」のなら目的は「美少女として暮らすこと」であり、受肉はその過程でしかないのだから。
バ美肉をした人たちの中には「より美少女らしい立ち振る舞い(「kawaiiムーブ」と呼ばれることも)」を研鑽したり、あるいは美少女の声を実現するために両生類ボイストレーニングあるいはボイスチェンジャーソフト(あるいはハード、ボイスチェンジャーの機材)の使用を試みたりなど、さらなるブラッシュアップを目指す人々もいる。
バ美活!(バビカツ!)
「バ美活!」は、アイドル活動をするゲーム/アニメ「アイカツ!」をもじった言葉(だろう)。つまり「バーチャル美少女・活動」の略であり、(受肉後に)バーチャル美少女として活動していくことやクオリティを高めるために努力をすることを指す言葉とのこと。
また時には「受肉するための努力、試行錯誤」についてもバ美活と呼ぶこともあるとのこと。こちらはどちらかと言えば「就職活動」の略である「就活」に似た用法となっている。
地獄
なおバ美肉という言葉が生まれ広まったその中心地からバ美肉というコンテンツを表す言葉(特にその人たち自身の活動コンテンツについて)に「地獄」という表現が使われている。
「中身がおじさんなのに美少女の姿である」という大きな齟齬からくる異常事態、「美少女がおじさんの可愛さに嫉妬する」、「おじさんがおじさんを推す」という狂乱、混乱や倒錯、尋常ならざる精神状態、平静を乱す状況、あるいはそれでもなお平静を装えるのならばそれこそ狂気。まさに地獄だと。
バ美肉などの美少女アバターの特性
人間の他人に対する振る舞い方は相手の姿によって変わってしまう、相手の見かけに大きく左右されるものである。
相手の姿が可愛ければ"見ていて心地良い・そばにいても不快でない"、また自分が可愛い姿であれば"相手を不安にさせない・親しみを感じてもらいやすい"、特に可愛い相手だと人は優しく接するように振舞いやすいようで、そうした関係性から美少女アバター同士はより円滑な交流が行えるという利点がある。
もちろんいわゆるバ美肉では見かけと精神の性別の不一致などへの最低限の抵抗感が無ければの話ではあるが、慣れてしまってその抵抗感さえ無くなってしまえば、人々はより温和に接しやすくなるわけである。
ただし「かわいい女性キャラ」ではセクハラなどの問題が生まれやすいといった問題もある。おじさんがおじさんに欲情する地獄である。寛容に受け入れられる人もいるが、人として下品な対応をされれば不快になることはありえるので中身が男性だからと何をしてもいいというわけではない。
また可愛い姿に合わせて特に女性らしく振舞うことに努めていると実生活へ影響が出てしまうこともある。普段の一人称が「俺」や「僕」だったのが「私」に変わったなんて話から、ちょっとした振る舞いが女の子っぽくなってしまったり、他人を見る意識、物の見え方にも影響が出たといった話もある。
どのように・どれほど活動しているかにも左右されるが"生身の自分"と"アバターの自分"とが明確に異なるといった人もいるし、人によっては『生身の時は"生身の自分"を演じる』という感覚を言及する例まである。
ちなみに美少女アバターを使っている男性はそのキャラのセンシティブなファンアートなどを容認してる、むしろ求めているという場合も結構多い。元が男性な分そうした欲望への理解がある、というか当人の欲望としてそうしたファンアート求めていることもある。しかしアバターの場合よく考えなくてもおじさんがおじさんに欲情する地獄だ。
声の扱い
「バ美肉=声も美少女になるようにする/しなければならない」というイメージもあるが、男性なのに美少女声にまでなっているというバ美肉は一部のバ美肉「バ美肉の発展形」で、バ美肉だからといって必ずしも声まで変えてしまう必要はなく、声色を特に変えず地声で活動している人もいる。
特にバ美肉の初出とされる配信でも参加者(全員男性)の大半が地声であり、工夫して女性声になっていたのは一人だけである。
ただ地声でもよいといっても、やはり地声では姿とのギャップが大きい場合も多く慣れている人以外には強い違和感を持たれやすいのも事実である。
声の変更方法は大きく3通り「声を自力で変える」「声の音を調整するボイスチェンジャーのソフト/ハードを用いる」「自分の声ではなく合成音声ソフトを使う」などがあり、各自が自分にあったものを選ばれる。
なお自力で声を変えることが難しいのは周知の事実だが、ボイスチェンジャーを使う場合「ボイスチェンジャーを通して綺麗に聞こえる声の出し方」も調整後の音声を非常に大きく左右するため、人によっては特にトレーニングが必要となるためそれなりに大変である。
合成音声ソフトを用いる場合は肉体的なトレーニングは不要だが技術的に手間がかかる上、合成音声の特性から声に抑揚をつけにくいという大きな欠点があるなど一長一短である。
声と魔王とママ
「バ美肉」の流れの中で「ボイスチェンジャーや声色を変えることで声も異性のようになる」というイメージと特に広まったのはこの「バ美肉おワ人狼」参加者の一人である「魔王マグロナ」の存在が大きい。
魔王マグロナはボイスチェンジャーの適合率が非常に高く、当初からボイスチェンジにありがちな違和感がとても小さく「おじさんでもこんな美少女声になりうる」という可能性や驚き、「美少女のキャラに美少女の声」という純粋な親しみやすさ、そして魂の可愛さも相まってバ美肉という言葉と併せて「バ美肉の第一人者」としても広まっていくこととなった。しかも魔王マグロナ自身はすぐ満足せずにさらなる調整研究を続けていき、「ボイスチェンジ機材(ハード)も使った声変えバ美肉の代表格」にもなっている。
ただし「バ美肉おワ人狼」の魔王マグロナ以外の参加者は全員地声で、元々「バ美肉」はボイスチェンジ使用者に限定しない表現である。発端となったバーチャル受肉布教を始めた参加者である「りむとまき」の二人も通常ボイスチェンジャーを使わず男性そのままの声を主として配信が行われているため、原義を考えたとしてもバ美肉はボイスチェンジに限定されないものだと言える。
そこから魔王マグロナの後に続けと「美少女声のバ美肉」にもさらなる後続が生まれており、特に「竹花ノート」は声変え技術の進化によって「ボイスチェンジを使わない(声変え)美少女声のバ美肉の代表格」となりバ美肉という希望にさらなる光をもたらした、が同時に(魔王マグロナと同様に)「バ美肉=美少女声」という誤解/解釈がさらに広がる一因にもなったと言えるだろう。
ただそもそも「地声のバ美肉」はやはり違和感が大きく、慣れていない人にはとっつきにくいという実情があり、それを払拭するか利用するようなほど面白い人でもなければ知名度が広がりにくいという問題がある。その点「美少女声のバ美肉」は慣れていない人にもとっつきやすく、優れた美少女声であればそれ自体がインパクトのあるコンテンツとなり知名度の広がる要因としても活きるため、知らない人が触れる最初のバ美肉が「美少女声のバ美肉」となりやすく、「バ美肉=美少女声」と印象を持ってしまいやすいという事情もある。
海外関連
海外ではあまりこの概念は知られていない。本記事が作成された2018年7月の時点では、ピクシブ株式会社による創作関連メディアサイト「pixivision」のとある記事の英語版が、英語で「バ美肉」について解説した唯一の文書だったようだ。
- Virtual Artist Camomi Camomi gives VRoid Studio a try! - pixivision
(日本語設定ブラウザからは日本語版に自動で飛ばされるため、ページ最下部右下で「English」を選択する必要あり)
ただし同記事でも、「babiniku (バ美肉; a term that refers to someone who uses a beautiful girl as their digital avatar)」と英語での解説が入ってはいるものの、その記述は短い。
2018年12月には、英国の公共放送BBCが運営するニュースサイト「BBC News」に掲載されたバーチャルYouTuberの特集記事において、「"Virtual-Bishoujyo-Juniku", or "virtual beautiful girl incarnation"」という表現でバ美肉について言及された。
これは日本初のVR専門ウェブメディア「PANORA」の代表取締役社長である広田稔氏にインタビューした際に、広田氏が話題に出したためであるようだ。氏は歌舞伎の「女形」とバ美肉を比較しつつ語ったという。
「海外ではVBImanと呼ばれているらしい」という情報が流れたことがある。これは「Virtual Bishojo Incarnating man」の略とのことで、incarnateは「受肉する」の意である。ただしこれは元情報を探ると「海外のバーチャルYouTuberオタクの一人が「自分はそう呼んでいる」と発言した」という事例があっただけのようだ。Googleで「VBIman」や「Virtual Bishojo Incarnating man」を検索してもほとんど日本語のページでしか言及されていないため、「海外で広くこう呼ばれている」というわけではない。
関連動画
関連コミュニティ
「バ美肉」という略称系の初出と思われる「バ美肉おワ人狼(バーチャル美少女セルフ受肉おじさん女子会ワンナイト人狼)」を開催したコミュニティ
YouTubeに「バ美肉布教」シリーズを投稿した「りむとまき」の片方、「まき」である「巻羊」氏のコミュニティ
関連リンク
関連項目
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