phone.jpg メディアジャーナリストの津田大介氏がゲストとインターネットに関わる様々な問題を討論する番組『MIAU Presents ネットの羅針盤』。2010年11月26日に放送された第2回では「ここまで来た、学校とネットの新しい関係」というテーマのもと、学校へのツイッターや携帯電話の導入の利点と問題点について、実際にそれらを学校で活用しているという現職教員をゲストとして招き討論を行なった。

 番組は学校による携帯電話の積極的な活用例として、現在制服ならぬ「制携帯」を導入している私立須磨中学・高校への取材VTRを紹介。制携帯とはいわゆる学校公認の携帯電話で、須磨中学・高校では2010年から中高の1年生全員と希望者を合わせた400名に配布した。その理由について理事長は「ほとんどの学生がすでに携帯を持っているし、禁止しても隠れて使う。それなら使い方を教えるべきだと思った」と「学校が携帯電話を乗っ取るという発想」があったと答え、現在は一斉連絡、欠席連絡、教師とのやり取りなどは制携帯で行っているという。

 負担は月額3500円で制携帯同士の通話・メールは無料。フィルタリングやパケット制限もあるが「超過した場合は超過した場合に親より前に生徒に連絡がいくので、意識もつけさせやすい」と理事長は説明。保護者も制携帯については「はじめはそのような管理というものに不安もあった」との意見もあったが、「夜に先生へ質問して回答してもらえるので便利」「制携帯は入学のきっかけになった」などの意見もあり、概ね好評ということだ。

ただしこれには「私立だからできた例。公立で保護者負担は難しい」(現役情報科教諭の能城茂雄氏 )や「中学では授業で携帯を使う必要はない。しかし制携帯のような情報端末はこれから必要だ」(ツイッターで学校行事などを配信している中学校長の大西久雄氏)などの意見もあり、それに対してコラムニストの小寺信良氏は「所持規制よりは須磨学園のような取り組みのほうが現実的なので、国にも検討して欲しい」と補足。その上で「ITリテラシーに格差ができてしまうのはよくないので、(公立私立問わず)学校も保護者も含めてリテラシーを底上げすることも大事だ」と語った。

『ここまで来た、学校とネットの新しい関係』 MIAU Presents ネットの羅針盤 - ニコニコ生放送
http://live.nicovideo.jp/watch/lv32855042
(番組はタイムシフト機能で2010年12月3日まで視聴できる)

村井克成