大人気漫画『ふしぎ遊戯』の作者として知られる、漫画家の渡瀬悠宇さんが、小学館・週刊少年サンデーで連載中の『アラタカンガタリ~革神語~』(以下、革神語)のリマスター版(加筆・修正版)出版に至った裏側を、自身のブログを通じ告白している。

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 1月21日に投稿された「リマスター原稿!!描いても描いても終わらない笑」では、革神語の初代担当編集“I氏”という人物に触れ、担当中、作品に対し過度な干渉が行われていたことを明かしている。

 I氏には当初に、渡瀬さんの頭の中にあった革神語の構想、そして先の展開まで説明していたというが、連載が始まると、I氏の思い通りにならないネームは通さない、大切なシーンでもI氏が理解できないシーンはカット、その場しのぎの展開を押し付けられる、しまいには「俺の言うとおりに描け」とばかりに毎回口を挟んでくるなどがあったという。

 勿論それに対し、渡瀬さんも反論していたそうだが、意見を通すと後にここぞという機会見つけ「噛みついてくる」、さらには「意味不明な直し」を週刊誌体制で何度もさせられるなどがあり次第に疲弊。
 「いつしか読者さんのためでなく、作品のためでもなく《担当さんに通るためのネーム》をビクビクしながら作ってしまっていました。」、「混乱と憔悴で、創作意欲低下と漫画家やめよう、とまで追い詰められてしまいました。」とその時の心境を語っている。

 ただ幸いにも、単行本10巻あたりで担当がI氏からK氏という人物に変わり、K氏に変わってからは「出すネームはちゃんと理解してもらえ、変更があるとしても台詞くらい?その後も、今もずっとあんなその場しのぎの描き直しはさせられない。」、さらには「展開に基づいた、物語がどうしたら面白くなるか、相談に乗ってもらえています。」と状況は好転していると報告。

 なお、今現在、渡瀬さんが取り組んでいるリマスター版は、週刊連載と同時進行で行われている。この作業は、当初渡瀬さんが構想していた、キャラクターの気持ち、行動や、エピソードを元に戻す作業のため、作業量は膨大というが「1ページ、1コマ、直すたびに自分を取り戻していっている気がします!」と前向きな気持ちを明かしている。

 そして、最後の方では人の意見で作らされたものと、作家が考え抜いて作った作品の差を確かめて欲しいとし、「これは、作家としての誇りの戦いなのです。読者の皆様には生き証人になって頂きたい。 大げさ?(笑) 結局は折れて負けて自分を殺して作ったものなので、責任はあるのでやり切ります。」と最後までやりきる覚悟を語っている。

参考・引用:
渡瀬悠宇ブログ『日月の聲(こえ)』

※「」中の文章は、渡瀬悠宇ブログ『日月の聲(こえ)』からそのまま引用しています。

漫画家・渡瀬悠宇「読者の皆様には生き証人になって頂きたい」―革神語初代担当編集との確執を告白