最終回を迎えたが、その後の主人公たちがどうなったのかふと気になる。みなさんにも、そんな思い入れのある作品があるのではないだろうか。そんな人たちにとって、映画やアニメのラスト、マンガの番外編などで描かれる「○年後」の話はたまらないはず。しかし、最近はそんな“その後”を描くマンガがたくさん登場しているのだ。『タッチ』(あだち充/小学館)から26年後の明青学園を舞台にした『MIX』や、『ママレード・ボーイ』(吉住渉/集英社)の続編を描く『ママレード・ボーイlittle』。連載当時、女性を虜にした『ときめきトゥナイト』(池野恋/集英社)の真壁俊だけでまるまる1冊作ってしまった『ときめきトゥナイト真壁俊の事情』。『魔法少女まどか☆マギカ』(ハノカゲ:著、Magica Quartet:原著/芳文社)に登場する中学3年生の巴マミが31歳になった姿を描く『巴マミの平凡な日常』(あらたまい:著、Magica Quartet:原著/芳文社)。

関連情報を含む記事はこちら

 12月6日に発売された『月刊少年マガジン』(講談社)1月号でも、1990年代に人気を博したヤンキーマンガ『カメレオン』(加瀬あつし)の続編『くろアゲハ』が連載スタートしている。人気マンガのその後を描く作品は、どういった設定で描かれているのだろう?

 まず、明青学園を舞台にした『MIX』では、同じ誕生日の兄弟、立花投馬と走一郎が登場する。しかし、彼らは双子ではなく、親同士の再婚によって兄弟になった。そして、走一郎の実の妹である音美が『タッチ』の南的ポジションにいるのだ。ピッチャーの投馬とキャッチャーの走一郎が仲間と甲子園を目指す姿も見ものだが、女たらしの走一郎や投馬と音美の恋愛模様にも注目したい。

 『ママレード・ボーイlittle』の主人公は、『ママレード・ボーイ』のヒロインである小石川光希と両親の入れ替え再婚で一緒に住むことになった松浦遊の妹・立夏と弟・朔。立夏と朔に血のつながりはないのだが、幼い頃から一緒に暮らしている。そんな2人が中学生になり、立夏は光希に片思いしていた須王銀太が受け持つクラスの生徒になる。また、立夏が光希たちの担任だった名村と光希の親友・茗子の間に生まれた碧に恋したり、朔が立夏に告白したりとラブ要素も盛りだくさん。『ママレード・ボーイ』を知らない人でも十分楽しめるが、知っている人ならばその設定も合わせて何倍も楽しむことができる。

 そして、『ときめきトゥナイト真壁俊の事情』は、タイトルの通り、まるまる真壁俊づくしの1冊になっている。魔界の王子である俊と、人間界で育った魔界の少女・江藤蘭世の恋を描いていた『ときめきトゥナイト』。不愛想でちょっと不器用な俊の姿に、キュンキュンしたという女性も多いはず。そんな彼の幼少時代や2人の出会いも描かれているのだが、なんといってもこの作品で見逃せないのが、本編で見ることのできなかった俊のプロポーズシーン。これを見れば、当時の恋心が再燃すること間違いなし!

 さらに、『巴マミの平凡な日常』では『魔法少女まどか☆マギカ』でみんなのお姉さん的ポジションだったマミのアラサー独身ライフが描かれている。さやかや杏子、ほむらなど、周りはみんな結婚してしまっているので、マミは絵にかいたような独身アラサー生活を送っている。彼女に中学生時代の紅茶を飲むような面影はなく、家に帰って飲むのはビールばかり。でも、そんなふうに違う一面を垣間見られたり、ギャップを楽しめるのも“その後マンガ”の魅力だろう。

 自分の好きだった作品が終わってしまうのは、仕方ないことだが悲しいことでもある。しかし、“その後マンガ”は読者を当時の思い出に引き戻すと同時に、登場人物たちが今でも生き続けているということを見せてくれるのだ。最近特に多くなった“その後マンガ”だが、読者の心の中にその作品が生き続ける限り、“その後マンガ”の人気は衰えない。

文=小里樹



『ママレード・ボーイlittle』(吉住渉/集英社)