9月14日に日本中のハンターが切望し、日本中の編集者が「ああ、これでまたあの人が仕事をしなくなる……」と嘆くことでおなじみのモンスターハンターシリーズ最新作、Nintendo3DS用にモンスターハンター4(以下MH4)が発売されました。

発売されて2週間、そろそろプレイ時間が100時間を越えたという人も多いでしょう。150時間、200時間を越えた猛者もいるかもしれません。

そこまでのプレイ時間にはとうてい及ばない(と、一応そういうことにさせておいてください)のですが、そこそこMH4をやりこんだ立場から、今回のMH4は傑作なのかどうか、今まで他機種でしか遊んでこなかったハンターが参戦するべきものなのか。遊ばないとなかなか気づけないような細かい部分を中心に、見ていきたいと思います。

●まずはシリーズの位置づけを把握しよう

ここでちょっとMH4がシリーズのどんな位置づけにあるか、見てみましょう。実はモンスターハンターシリーズはかなりの数が出ていて、それぞれ対応している機種が異なっています。オンラインゲームのモンスターハンターフロンティアシリーズと、高解像度で据え置き機用になっているHD Ver.を除くとこのようになっています。

モンスターハンターPS2
モンスターハンターGPS2
モンスターハンター ポータブル(PSP
モンスターハンター2(ドス)(PS2
モンスターハンターポータブル 2ndPSP
モンスターハンターポータブル 2nd GPSP
モンスターハンター3(トライ)(Wii
モンスターハンターポータブル 3rdPSP
モンスターハンター3(トライ)G(3DS
モンスターハンター43DS

基本的には数字のついたモンスターハンターが出て、G級と呼ばれる強いモンスターなどが加わった「G」シリーズがパワーアップ版として出ています。PSPで遊べるものはポータブルとついていると覚えるといいでしょう。

そして、今回のMH43DS用のモンスターハンターの2作目となります。完全に新シリーズの1作目ですので、あれこれ自分で試行錯誤していろいろなことを発見していくのが面白く、今作から始める人もベテランハンターの人も楽しめるでしょう。

モンハン持ちはどうなのか

今までPSPモンハンをしていた人たちが一番気になっているのは操作性でしょう。PSPでのモンハンは、左手の親指でアナログスティックを操作しつつ、左手の人差し指で十字キーを操作し、左手の中指でLボタンで操作しするという、通称「モンハン持ち」が最も効率の良い操作性を持っていると言われていました。アナログスティックでキャラクターを動かし、十字キーでカメラを操作します。

ですが、3DSは上にアナログスティック、下に十字キーがある3DSではモンハン持ちができません。その代わり、いくつかの操作が加わっているため、無理にモンハン持ちをしなくても遊べるようになっています。

たとえばターゲットカメラ。大型モンスターにターゲットをセットすることで、いつでもLボタンを押すとカメラが大型モンスターの方を向くようになりました。2回素早くLボタンを押すと、カメラが自分の正面へと切り替わります。ターゲットロックをしていないと、Lボタン1回でカメラが自分の正面へと切り替わります。この機能によって、今までよりも十字キーでカメラを操作する回数がだいぶ減ることになりました。

また、タッチパネル上に仮想の十字キーが用意されているので、こちらでカメラを操作することも可能です。このとき、右側に配置することで左手ではキャラクターを操作、右手ではカメラを操作するということも可能になりました。この辺の感覚は据え置き機での操作に近いものがあります。

ただし、タッチパネル上の十字キーはお世辞にも操作しやすいとは言い難いものがあります。十字キーを多用しなければならない「弓」を使っている人や、どうしても動かしたいという人は、カメラ用のアナログスティックを追加する拡張スライドパッドなどを使うといいかもしれません。

というわけで、今までモンハン持ちをしていた方も、一度ちょっと遊んでみることをオススメします。意外とモンハン持ちができなくても、何とかなっちゃうのです。どうしてもモンハン持ちが無いと難しいという場合には、拡張スライドパッドなどを使ってみるといいでしょう。

●インターネットでどこでもみんなとオンライン!

今回の最大の目玉は、3DS単体でインターネット接続をして遊ぶことができることでしょう。同じ3DSでもMH3Gはインターネット接続ができず、直接会って遊ぶローカル通信でないと友達と遊ぶことができませんでした。

PSPのポータブルシリーズでは、インターネット接続で友人と遊ぶことができるのですが、PS3を経由して「アドホックパーティー」というアプリで接続をする必要がありました。また、非公式で通信を経由するソフトを有志が開発したりもしていました。

MH4では無線LANを経由して、そのままインターネット接続で遊ぶことができます。しかも、とても快適に、なめらかに遊ぶことができるのです!

少し残念なのは、チャットでしょうか。集会所でクエストを選んだり準備をしたりしているときはキーボードを使って会話をすることができるのですが、1行あたりの文字数が少なかったり、キーボードが右から順番にあいうえおかきくけこ……と縦に並んでいるので、普段パソコンのキーボードやiPhoneのフリック入力に慣れている身としては、少し入力しづらいものがありました。

10月1日追記
読者の方から「キーボード左下の「ABC」をタッチして、右下の「かな」をタッチすると、パソコンのキーボード配列で文字を入力する事ができる。」ことを教わりました。ありがとうございます!


また、クエスト中はいちいちキーボードとかは使えないため、定型文しか使えないようになっています。この定型文は12種類あり、事前に編集できるようになっているのですが、もう少し細やかに設定できるようにして欲しかったです。

というのも、モンスターハンターというゲームではクエストに制限時間があるため、モンスターをいかに早く見つけるかが重要だったりします。ベテランのハンターになれば、クエストごとに初期位置としてモンスターがマップの何番エリアにいるのかとかをある程度知っていたりもします。また、敵の位置がわかるスキルを持っている場合もあります。

そういった千里眼の薬や自動マーキングスキルなどを使っているとき、自分がいない場所を指して「●番のマップにいる!」ということをオンラインの定型文のチャットで伝えるのは非常に難しいのです。かといって、定型文は12個までしか登録できないため、いちいち「1番のマップにいる!」「2番のマップにいる!」と、10個ほど言葉を登録すると、他の言葉が使えなくなってしまいます。何番のところに向かう、敵がいるということをオンラインプレイ中に他のプレイヤーに伝えられるようにできると、オンラインプレイでもっと快適に遊ぶことができるでしょう。

セーブ時間は改善されている

3DSでの初めてのシリーズであるMH3Gで、一番どうにかならないかなと思ったのが、セーブ時間でした。ゲームの途中内容を保存する操作が、数十秒かかったのです。

ですが、これはSDメモリに保存するデータが多かったのと、3DS付属のSDメモリがそれほど高速に読み書きできるものではないということがわかり、高速なSDメモリに変えることで10秒以上時間を短縮することができました。それでもセーブ時間はそこそこ長かったのですが。

今回も高速なSDメモリにするにこしたことはありませんが、セーブ時間そのものが大幅に改善され、数秒で終わるようになっています。セーブにかかるストレスは大幅に削減したと言ってもいいでしょう。

●段差をうまく利用しよう

MH4で新しく導入された概念が「段差」です。高いところから低いところには飛び降りることができ、飛び降りるときに武器を使うと飛び降り攻撃をします。それをモンスターの背にうまく当てると、モンスターの背中に乗ることができるようになりました。

この段差には大きくわけると2つあります。歩いてそのまま登れるところと、ボタンを使わないと登れないところです。低いところだといちいち武器をしまって登ったりしなくてもそのまま登れるようになっています。

ボタンを押して、壁や柱などを登る場合。今までは、ダッシュと同じ操作をすると若干登るスピードが速くなる(その代わりスタミナを消耗する)ようになっていました。MH4では登っている最中にダッシュができなくなった変わりに、Bボタンでの回避操作を行うと、壁の上でジャンプするようになりました。これでぴょんぴょんと軽やかに壁や柱を登っていくことができます。

また、壁や柱に張り付いているときは、上下だけではなく左右にも動けるようになりました。もちろん回避操作も行えますので、上下左右にぴょんぴょんと飛ぶことができます。自由度が高くなりながら、移動速度が上がっていて快適になっています。

なお、背中に乗る飛び降り攻撃は、ターゲットカメラと組み合わせるとやりやすくなっています。段差の下にモンスターがいるとき、ターゲットカメラでモンスターにカメラを向けたら、あとはそのまままっすぐに進んで飛び降り、攻撃をすればいいのです。どちらを向いていようとモンスターの方向を向くターゲットカメラの特性を利用しましょう。

●ボリュームはかなりのもの

一番心配されているのは、今回がMH4MH4Gでは無いという点でしょうか。モンスターハンターシリーズは、クエストのレベルで下位と上位とに分かれていて、敵の強さや支給品の有無などに影響します。「G」とついているシリーズは上位の上にさらに「G級」と呼ばれる超強力なモンスターが登場し、ボリュームがかなりアップするのです。今回はGがついていないということは、そんなにやりこめないのではないかという心配が起きるのも当然のことでしょう。

結論から言いますと、今回はそんな心配はいらないんじゃないかというぐらい、現時点でボリュームたっぷりです。少なくとも100時間遊んだぐらいでは、全部遊び尽くしたというところまではたどりつけないでしょう。

ギルドクエストという、短いマップの中で特定のモンスターが出てくるクエストが用意されているのですが、これの種類がとても多いのです。普段は出てこない過去作だけに出てきたモンスターも、ここでは登場したりします。そして1度クリアするとそのクエストのクエストレベルがアップするようになっていて、高レベルのクエストになればなるほど敵が強くいいものが手に入る可能性が増すという仕組みになっています。

このギルドクエストはすれ違い通信でも配ることができるので、ドラクエ9のときの「まさゆきの地図」みたいなものが期待されます。ただし、データをいじって作ったイリーガルなギルドクエストもあるみたいなので、あまりにも条件がいいものは疑う必要があるかもしれません。

●全体的に快適になっているので、特に初心者にオススメ

今回はいろいろと、今まで遊んでいて少しストレスが貯まるようなところを軒並み快適にしているという印象です。他にもいろいろあって紹介しきれないのですが、例えば村で行うクエスト通称「村クエ」は、今まではストーリーが希薄だったため、物語に合わせて狩りを行うというよりは作業をする感が強かったのでした。でも、今回はストーリーがしっかりしているため、作業感が大幅に減っています。

さらに、アイテムをあらかじめ何を持っていくということを登録することで、一気にセットできる、アイテムのマイセット機能など、かなり便利です。

もちろん、全ての面でべた褒めというわけには残念ながらいきません。一番残念なのが、各キャラクターやモンスターではなく、背景とか風景の画像が若干粗いということでしょうか。

モンスターはある程度ダメージを負うと違うエリアへ逃げたりするのですが、空を飛ぶことができるモンスターの場合、どちらの方向へ飛び去ったか、影をよく見て判断します。でもMH4では風景の画質が荒いため、影がどう動いているのか把握しづらくなっているのです。

また、ハンターは武器によって剣士とガンナーに分類され、防具もそれぞれ異なるのですが、PSPのシリーズでは「剣士装備だけを表示」「ガンナー装備だけを表示」とできたのが、できなくなっています(さんざん探したのですが、実はこうすればできるよと知っている方はこっそり教えて下さい)

10月1日追記
こちらですが、ありました。申し訳ありません。店での防具生産の際、「頭以外の防具」を選んでいるときにはSTARTボタンソートができるようになっていました。頭は剣士とガンナー共通のため表示されません。頭防具のところで探していたため、気づけませんでした。Twitterやはてぶで指摘してくださった皆様本当にありがとうございます。おかげで快適に生産できるようになりました


そういった不満点はありますが、総じて完成度は高く、遊んで良かったと思える出来映えです。ベテランハンターにはもちろんオススメですし、今までモンスターハンターシリーズをやったことがないけれど遊んでみたいという人には、面倒な作業が減っていて快適になっている分、こちらのMH4をオススメいたします。
(杉村 啓)

モンスターハンター4(Nintendo3DS カプコン) パッケージ版だけではなく、Nintendo e-shopでダウンロード版も購入することができる。より広大になり、ボリュームが増え、快適になったモンスターハンターを楽しみましょう