浙江省温州楽清市の郊外で1日朝、公衆便所が爆発したことが分かった。女性1人が使用中だったが無事だった。警察は、老朽化した電気回路から出た火花が、屎尿(しにょう)溜めで発生した大量メタンガスに引火したとみている。中国では、下水などで発生したメタンガスによる爆発事故が、しばしば発生している。浙江在線が報じた。

  温州楽清市郊外の樟南村で1日午前6時ごろ、公衆便所が「ドン!」という音とともに爆発した。同爆発で、便所全体の壁が外に向って倒れた。内部では女性1人が使用中だったが、 用を足す部分に両脇の壁があったことが幸いし、「倒れて気を失う寸前だったが、無事だった」という。ただし、便所の近くを通行中だった女性1人がかすり傷を負ったという。

  中国では、たまったメタンが原因で下水などが爆発する事故が多発している。マンホールから燃焼するガスや汚物が噴出して、鉄製のふたを一斉に飛ばす事態も、しばしば報告されている。

  中国共産党樟南村支部の馬書記は爆発について「まったく、思いもよらなかった」と述べた。便所は建てられてから11年で、近くには工場が集中しているため、平日の午前6時から7時までは利用者が多い。5月1日メーデーで休日であるため利用者が少なく、ふだんだったら「けが人が大量発生しただろう」という。

  馬書記は爆発した公衆便所について「下水部分を通すことを長年にわたってしていなかったから、メタンが濃くなったのだろう」との考えを示した。共産党支部の別の幹部によると、爆発発生後に地元住民が「最近、ずいぶん臭かった」と言いはじめた。ただしメタンとはだれも知らなかったという。

  警察が調べたが、特に爆発物などは発見されておらず、目下のところは、「老朽化した電気回路から出た火花が、屎尿(しにょう)溜めで発生した大量メタンガスに引火した」とみている。

  馬書記によると、3日までに爆発した公衆便所の屎尿溜めの清掃と倒れた壁などの修復に着手した。

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◆解説◆

  中国の公衆便所はかつて、「所定の位置」に穴だけがあいている、「仕切りがない」タイプのものが大部分だった。ただし、都市部などでは「個室式」公衆便所の設置が進んでいる。中間的なものとして、「所定の位置の穴」の両脇に、人が立った時の腰の位置程度の仕切りが設けられている場合もある。多くは、レンガを重ねてコンクリートで覆ったものだ。

  上記記事で爆発を起こした公衆便所のタイプは説明されていないが、中にいた女性の両脇の仕切りがかなり頑丈であり、女性が爆発発生時にしゃがんでいため、両脇の仕切りが体全体の“防御板”になり、負傷を免れた可能性がある。(編集担当:如月隼人)