17日、立教大学の学生(25)とアルバイトの男(25)が準強姦の疑いで逮捕されたことが報じられた。これを受け、立教大学の4年生が「別に悪いと思わないね。皆同じようなことしてんじゃん。飲み会で勢いでキスしちゃったーとかと変わんねーよクソが。女がわりー」とツイッターで書き、彼のツイッターに非難が殺到。さらには彼の内定先とされる三越伊勢丹ホールディングスにも電凸(電話突撃)がされ、その模様がネットで配信される事態となった。

 学生による「鬼畜行為を擁護」→「炎上」は2009年6月に京都教育大生6人が飲み会に来ていた女子学生を集団準強姦した件で関西地区の某学生が「そこに酔いつぶれた女の子がいるから襲う」とミクシィで書いたことでも発生。

 ほかにもバカ学生による炎上騒動は、「ホームレスに卵投げつける動画をネットに公開」した神戸大学の学生に見られる。後に彼は「ホームレスは友人が演じていたもの」と釈明したものの、内定先のパナソニックから内定取り消しをくらった。

 ネット上で反社会的発言をしたり、くだらん「やんちゃ自慢」をすることで人生を棒に振るバカが相も変わらず消えないが、お前ら一体何を考えてるんだよ。普通に考えてネットってもんは「公共空間」だろ? オレもバカ学生による犯罪自慢(立命館の学生が飲酒運転事故を告白・大阪芸大生がブランド品密輸を告白)といったものは散々見ては呆れかえっていたが、そろそろ大学の職員の皆さん、このバカどもに「ねっとりてらしー講座」とかやった方がいいんじゃないの?

 で、就職を控えた学生はネットとどう付き合えばいいのかを『就活のバカヤロー』『脱アコガレ!これが真実のマスコミ就活だ!!』などの著書がある人材コンサルタントの常見陽平氏に聞いてみたぞ。

「就活生は露出リテラシーの基本を押さえなくてはいけませんね。ネットに何かを書いたら、それは『見られている』ということを意識しろ! ということです。企業はけっこうエゴサーチ(自社のことを検索する)はしています。そこでのキーワードは『就活×会社名』だったりします。そんな中、内定者の名前も検索で調べることがありますよ」(常見氏)

 その通りなのである。実際のところ、オレのスタンスとしては、「組織に所属する人間はあまりネット上で実名は出さない方がいいかも」というものがある。理由は、日本の組織って、「個」が立つことによって組織全体の意見と取られることを極端に嫌がられるから。例えば、どこかの高校のDQN(バカ)が喫煙を道でしていたとしよう。すると、それを見ていた大人はそのDQNを注意するのではなく、学校に電話をするのである。

「お宅の学校の生徒がタバコ吸っていたざます!」と。

 このように「個を注意するのではなく、組織に対してクレームをする」傾向が今の日本にはあり、それにいちいちビビる組織人が多い以上、立教大学・三越伊勢丹はこの学生をもはや擁護できる立場にはない。前出常見氏は「内定者」という立場をこう説明する。

「内定者になった瞬間、学生であろうが、その会社の一員として見られてしまいます。誰が見ているか分からないので、本当に、ネットで何かを発言した場合、それがどう人々から見られるかを意識しなくてはいけません。実名でやっているのはけっこうだけど、『その会社の人』と見られてその会社にクレームはいくし迷惑を受けてしまう。あとは、ネットの人って炎上とかおかしなことが発生するのを待っているんですよね」

 今回の立教の学生は、他人の不幸を願う連中によって完全におもちゃにされた。だったら就活中の学生はどのようにしてネットと付き合うべきか。常見氏に3ヶ条を聞いた。

【1】内定先は書くな

【2】情報の受け手の立場を考えろ。これ見てムカつくヤツがいないか考えろ

【3】そもそも問題行動するな。普段から清廉潔白でいろ

 今回の件でもしこの立教の学生が内定取り消しになれば「メシウマ」(他人の不幸でメシがうまい)になるのは間違いないけど、電凸するとかまではしないでもいいんじゃないのかなぁ。なんつーか、企業ってさ、「事が大きくなり過ぎたから処分せざるを得ない」ってことはよくあるのよ。

 誰かがネットでバカ発言したところで集団リンチをし、そいつの人生を狂わせるというネットの伝統芸能にはオレもそろそろ食傷気味だし、見ていてあんまり美しいものじゃないんだよな。別にこいつが不幸になったからってお前らの人生が上向くわけでもないだろ。ここら辺で「バカがなんかいってますね。はいはい」とスルーしてやってもいいんじゃないの? 普段韓国のバカネチズン(笑)が「キムチはKimchiと発言しなさい!」みたいな発言してもお前らはちゃんとスルーしてやっているような感じでさ。

文/中川淳一郎(ネットニュース編集者