先週「著作権者の許可を得ずに著作権を持つデータをネットからダウンロードする行為を違法と認定して罰則を与える」ということで民主・自民・公明が調整に入ったという報道が流れた。著作権者の許可なくファイルをダウンロードした人は「2年以下の懲役または200万円以下の罰金」になるという。これが10月1日から実際に施行されることがほぼ決まった。

一応、捜査に関しては著作権者側からの申告があってから着手するという親告罪の形を取られるとのことだが、将来的には無申告でも捜査機関が動けるように変わる可能性がある(かもしれない)とされている(実際のところ、そうなるのかは不明)。

あまり政治がらみや法律に関する話題は判断が微妙なのでITライフハックとしては取り上げたくないが、内容が我々の生活に直結する話だけに今回はスルーせずにあえて取り上げることにした点を最初にお断りしておく。

この決定に対してジャーナリストの津田大介氏、小倉秀夫弁護士、漫画家の佐藤秀峰氏といった著名人のツイッターでの反応が見られた。音楽界のロビー活動が功を奏した形だと見る津田氏は「音楽界のエライ人とは距離を置く!」とかなり熱く語っており、それに近いのが小倉弁護士で「もう邦楽CDは買わない!」といった感じでお怒りの様子だ。いっぽう漫画家の佐藤秀峰氏は「著作権法をどうこうする前に、著作者たちをきちんと保護しなさいよ!」といった著作権を持つ側に立った現実的な意見を展開。

それぞれ意見の異なる部分はありながらも一致しているのが「この改正は、どうしようもないね」という点。それに我々ネットユーザーは無関係なのかと言うと、とんでもない話で小倉弁護士いわく

「まあ、この法案が通ったら、全ての国民は、いつでも、違法ダウンロードした疑いがあるとして、自分のパソコンを警察に押収される危険があると思っておいた方がいいね。」

「捜索差押えで得たパソコンの中身に関する情報を警察が勝手に公表しても、特に罪に問われないから、やりたい放題できるな。」

と何とも恐ろしいツイートをしている。

ここでもう一度、我々ネットユーザーもこういった問題について真面目に考える必要があるだろう。ある日突然、警察がやってきてPCを根こそぎ持って行き、中身を調べられるということが自分に身に降りかかったら?と考えると、やはりそうしたことは怖い。実際に違法ダウンロードを行っていなかったとしても著作権者から申告されただけで、自分のPCの中身を洗いざらい調べられることになってしまうのはかなりイヤである。

著作権を侵害しているようなデータを違法にダウンロードすることはもちろん悪いことだ。一見正規のサイトのように見えて実は違法サイトで有償でダウンロードしたけれど、著作権者にはお金は渡っていなかった。などというケースではどうなるのか? といった点も不透明だ。

着メロデータの携帯やスマホへのダウンロードという行為もあるわけで、自分のスマホや携帯も取り上げられて徹底的に調べられるわけだ。また、こうした我々のネット利用を脅かすような法律に関して、もう少し私たちユーザー側も敏感に反応し、何らかのアクションを起こさないと、どんどん都合よくネット上のユーザーを縛る法律が作られてしまう可能性がある。津田氏いわく我々が取れる対応方法として

「選挙区の民主党の国会議員事務所に電話して今審議してる法案おかしいですよとみんなでかけるのがベタですけど、一番きくかと。みんな意外とやらないってのが問題でもあるんですが。」

ということだ。そこで自分の選挙区の国会議員事務所に有権者として電話するなりメールを送るなりしないと国民(ユーザー)の声が無視されたままになってしまうことになる。

togetter:『tsuda氏、 ダウンロード刑罰化に大激怒!音楽業界を見限ると

togetter:『小倉弁護士も大激怒!もう邦楽CDは買わない DL刑事罰化の問題点−いつでも、違法DL容疑で、PCを押収される危険あり』

togetter:『漫画家・佐藤秀峰さんの「違法ダウンロード問題からマンガ界を考える」』

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