男をだますのは女、女をだますのは男。恋愛において「だます」といえば、ついそんな図式を思い浮かべてしまうが、スコットランドで起こった"事件"はもう少し複雑だ。だましたのは「男性のフリをした」女性で、だまされたのは「相手は男性だ」と信じていた女性。しかもこの関係は9年近くも続いたというのだから、ことは「恋愛におけるちょっとした痛手」では済まされない。
英国のザ・サン紙や BBC などの報道によると、2人の女性をだましたとされるこの女性の名前はサマンサ・ブルックス、26歳。彼女は、女性らと「性的な関係を持つために」自らの性別を偽ったことなどで起訴された。1人目の女性との関係は2001年1月から2009年12月まで、2人目の女性との関係は去年の2月から9月まで続いたとされる。
ベッドをともにしていながら、それほど長期間にわたり性別を偽ることは果たして可能なのだろうか。同記事によるとサマンサは、自分の名前はリー・ブルックスだとかたっていたという。胸は包帯で隠し、"恋人"となった女性には「火傷のあとがあるから」「胴体を刺されたことがあるから」と説明していた。入浴のさいは泡風呂で身体を見えなくし、上半身の洋服を脱ぐことは拒否。小便は立ったまま済ませ、ベッドでは「自分は睾丸のガンがあるから」と男性器を触らせず(無論、そもそもそんなものないのだが)、コンドームを被せた物体を自らの男性器だと偽っていたというのだから、その徹底ぶりは相当のものだったのだろう。
ただしサマンサ本人は、女性らをだまして性的な関係を持ったことを否定しており、彼女の弁護人も、すべての訴状に対して「無罪」を主張している。どちらの訴えが正しいのかは、裁判が進むにつれこれから明らかになっていくと思われるが、もし女性らが本当に、サマンサを全く疑ったことがなかったのだとしたら――。「恋は盲目」とは、まことに恐ろしい格言である。
<事件を報じた英メディア>
Girl 'beds lass for eight years by acting as a bloke' - The Sun
(古川仁美)
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