koike.jpg 小池一夫(こいけかずお)――マンガ原作者として「子連れ狼」「首斬り朝」「修羅雪姫」などのヒット作を生み出しただけでなく、「うる星やつら」の高橋留美子、「北斗の拳」の原哲夫、「ドラゴンクエスト」の堀井雄二など、数多くのクリエイターをデビューさせたマンガ界の大御所。小池氏は"マンガ規制"ともいえる「東京都青少年健全育成条例改正」について、いったい何を思っているのか。

 「拡大解釈をされるということが一番嫌ですね。すでに警察が取り締まっている部分で良いじゃないかと。何も20年前に戻ることはない」

 そう語る小池氏。20年前というのは、1990年前後に起きた「有害図書」の規制運動のことだ。当時原作をしていた「マッド・ブル34」(絵・井上紀良)という人気マンガも、この運動の中で性描写が過激だと有害図書の指定を受け連載中止になった。小池氏は「痛恨の極み」「無念」「耐え難いものがある」と当時を振り返りながら、

 「どういう人たちが有害図書を選定しているのか、マンガの上に立つ文化人とはどういう人なのか、マンガを知らない人たちがマンガの上に立つのか、という危惧はありますね」

 そう疑問を呈し、そして、「焚書(ふん‐しょ:学問・思想を権力によって弾圧するための手段として、書物を焼き捨てること。)」という言葉も使いながら今回の条例改正を批判した。

 今回の条例改正に対抗して、複数の大手出版社が2011年3月下旬に開催予定の「東京国際アニメフェア」への出展を取りやめている。この問題にも言及した小池氏は、「悲しいでしょうね、みんな」と準備をしてきた東京都職員やマンガ業界関係者などに気遣いを見せると共に、日本経済にも大きな打撃だとして「日本のコンテンツ産業がどう位置づけされているのか、官房長官が正式に記者会見で発表して欲しいなと思いますね。ブログなんかで菅さんがつぶやくのではなくて、ちゃんとしたコメントを出して欲しいなと思います」と政府にも要望を出していた。

 なお、小池氏が条例改正について語っていたこの様子は、2010年12月26日ニコニコ生放送小池一夫のニコニコキャラクター塾!」で放送されたものである。

小池一夫のニコニコキャラクター塾!
http://live.nicovideo.jp/watch/lv35432274
(番組はタイムシフト機能で2011年1月2日まで視聴できる)

(野吟りん)

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