netuyoku.jpg ネット右翼(通称:ネトウヨ)とは「ネット上で右翼的な言動、活動を行う人のこと」と定義されることが多い。しかし、誰を「ネトウヨ」とするかの解釈は様々で、その緩やかな集合体の実態を掴むのは難しい。

 ノンフィクションライターの藤井誠二がホストを務める「ニコ生ノンフィクション論」(2010年12月23日放送分)では、ジャーナリストの安田浩一氏のルポルタージュ「在特会の正体」(講談社「g2」vol6所収)を下敷きに、ネット右翼からの支持が厚いと言われている「在日利権を許さない市民の会」(通称:在特会)に注目。「『ネット右翼』はどこにいる?」のテーマのもと、在日問題に取り組む弁護士の李春熙(リ・チュニ)氏を加え、在特会に懐疑的な視点を持つ両名が在日外国人問題に対しての活発な活動で知られる在特会の実像、そこから浮かび上がるネット右翼との実態について迫った。

 番組では、在特会が今までに行ってきた過激と言われる活動のいくつかが例に挙げられた。安田氏はその特徴を「被害者性の訴求」「反エリート・反権威」と表現し、思想より先に彼らに共通するのは「被害者感情である」と指摘する。

 そこから安田氏は「集団で会うと不愉快な発言が多いが、二人きりで話すといい人ばかりだった」という人たちが在特会という手段を得たように、「抵抗すべきロジックを持ち得なかった人々が、ネットによって初めて手段を得た」とネット右翼には思想哲学の共有以前の被害者感情の共有があると分析。「そのときに抵抗の対象となったのが、国家でありマイノリティだった」と語り、その過激な活動については「愛国無罪では彼らの嫌う中国の反日デモと変わらない」と警鐘を鳴らしていた。

 今回の放送は視聴者の反応も賛否両論で「確かに在特会ネット右翼も行き過ぎている」という意見がある一方、「在特会の言い分を聞かない欠席裁判。これこそ差別の放送だ」という意見も多く寄せられた。これに対して、藤井氏は「ノンフィクション論を紹介する番組なので、逆の立場の内容の本があれば同様に場所を提供する」と説明していた。

ニコ生ノンフィクション論 ~「ネット右翼」はどこにいる?~
http://live.nicovideo.jp/watch/lv35181401
(番組はタイムシフト機能で2010年12月30日まで視聴できる)

村井克成

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