東野圭吾「売ってないから盗むという言い分は通らない」

東野圭吾「売ってないから盗むという言い分は通らない」

ニコニコニュース(オリジナル)

 『島耕作』シリーズで知られる漫画家・弘兼憲史氏や、作家の東野圭吾氏、『北斗の拳』の原作などで知られる武論尊氏らが2011年12月20日、書籍をスキャンして電子ファイルを作成するスキャン業者2社に対し、行為差し止めを求める訴えを東京地方裁判所に提起した。漫画や書籍のスキャンは、インターネット上で「自炊」とも言われるが、原告らは「"自炊"は代行し得るものなのか疑問」として、「自炊代行業者」ではなく「スキャン業者」と呼んでいる。

 被告となったのは「スキャンボックス」(有限会社愛宕)、「スキャン×BANK」(スキャン×BANK株式会社)の2社。原告側によると、昨年初頭には数社だったスキャン業者は今年9月に約100社になるほど増加しており、スキャンするために裁断された書籍がYahoo!オークションなどで販売されている現状もある。弘兼氏ら原告団は

「『自炊』は著作権法上の『私的複製』として認められているが、専門業者による大規模なその代行は、私的複製では到底ゆるされない」

として、訴えを起こした。訴えはスキャン行為の差し止めを求めるもので、損害賠償の請求は行わない。

裁断されネット上で売買されているマンガ

裁断されネット上で売買されているマンガ

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 会見で記者から、「電子書籍がきちんと普及していれば、こうした問題は起こらずにすんだのでは」と意見を求められると、「電子書籍を認めてない」という作家・東野圭吾氏は、「スキャンの問題は電子書籍とは別の問題だと思う」としたうえで、

「『電子書籍を出さないからスキャンするんだ』という意見にはこう言う。『売ってないから盗むんだ』、こんな言い分は通らない」

と語り、憤りをあらわにした。

◇関連サイト
・[ニコニコ生放送] スキャン業者提訴に関する記者会見を視聴 - 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv74921515?po=news&ref=news#0:00:14
・書籍スキャン事業者への提訴のご報告(PDF) - 配布資料(2011年12月20日
http://info.nicovideo.jp/niconews/pdf/20111220_pr.pdf
・質問書(PDF) - 配布資料(2011年9月5日
http://info.nicovideo.jp/niconews/pdf/20111220_doc1.pdf
・書籍スキャン事業者への質問書送付のご報告(PDF) - 配布資料(2011年9月5日
http://info.nicovideo.jp/niconews/pdf/20111220_doc2.pdf
・法的ご説明(PDF) - 配布資料
http://info.nicovideo.jp/niconews/pdf/20111220_doc3.pdf
・書籍スキャン事業者からの質問回答についての報告(PDF) - 配布資料(2011年9月30日
http://info.nicovideo.jp/niconews/pdf/20111220_doc4.pdf
・記者会見席次表(PDF) - 配布資料
http://info.nicovideo.jp/niconews/pdf/20111220_seat.pdf

(土井大輔)

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