101029.jpg 評論家・宇野常寛が主催するカルチャー誌「PLANETS」の出張版、「ニコ生PLANETS」が2010年10月29日ニコニコ生放送にて放送された。

 レギュラー化第一弾となる今回のお題は「ガンダムの現在」。ガンダムファンの識者4人(宇野常寛、中川大地、石岡良治、堀田純司)がガンダムシリーズの最新4作品(00、UC、THE ORIGIN、SD三国伝)の分析を中心としてガンダムの歴史、現在、そして未来を語った。その中でもガンダムの初期メインスタッフである安彦良和氏の漫画「THE ORIGIN」と"ガンダムチルドレン"でもある小説家福井晴敏氏が原作を担当した「UC」の対比は、双方とも原作者の富野由悠季氏に認められている作品でありながら「ガンダム正史をめぐる世代闘争」(中川)を起こしているとして視聴者の注目を集めた。

 中川氏はその根拠として、安彦氏は肥大化したガンダム世界からガンダムをコンテンツとして取り戻そうとして「THE ORIGIN」を描き、それに対して福井氏の「UC」は肥大化した世界を視聴者側だった人間として受け止めた上で独自の解釈を加え、新しい正史を書いたという「介入目的の違い」を提示。他メンバーもシャアの描き方や、富野氏とガンダムとの距離感と福井氏&安彦氏とガンダムとの距離感の違いなど、様々な角度から二作品の差異を検証した。

 宇野氏は最後に一連の検証を踏まえ「ガンダム世界のデータベースは、富野氏の手だけではなく、ガンダムに介入する人々の集合知によって作られたものである」 とした上で、「これからは富野氏や特定の作家だけが正史に介入するのではなく、今あるデータベースの楽しみ方を増やす介入ができる人がガンダムを作っていけばいい」と主張した。しかし今の正史においてラディカルな介入が可能なのはやはり富野氏だけであるとし、新たなガンダムの登場と共に、富野氏の次回作にも期待を寄せていた。

ニコ生PLANETS11月号「ガンダムの現在」
タイムシフト機能で2010年11月5日まで番組を視聴できる)

(村井克成)