法務委員会.jpg   東京都議会総務委員会(高倉良生委員長)で2010年12月13日、過激な性描写を含むマンガやアニメなどの販売を規制する都青少年健全育成条例の改正案について採決が行なわれ、賛成11、反対2の賛成多数で可決された。15日の本会議でも可決され、改正案は成立する見通しだ。

   今回の改正案は、「非実在青少年」という言葉が話題を呼び6月議会で否決に追い込まれた議案を修正したもの。「非実在青少年」という表現は削除されたものの、依然として規制範囲があいまいでマンガやアニメの作家の萎縮効果を招く恐れがあるなどとして、マンガ家団体や出版社、弁護士会などが反対を表明していた。

   改正案に賛成したのは、民主党の松下玲子、小山有彦、鈴木勝博、花輪智史、大沢昇、 自民党の吉原修、三宅正彦、服部征夫、中屋文孝、公明党の谷村孝彦、小林健二の各議員。共産党の吉田信夫議員と生活者ネットワークの西崎光子議員は反対した。

■ 改正案に反対する請願・陳情約300件も「不採択」

   採決前の意見表明で、吉田議員は「なぜ出版社などの当事者に意見を求めなかったのか?(マンガやアニメに対する規制は)自主規制の努力を踏みにじるもの」と都の態度に疑問を呈した。また西崎議員は「以前より規制対象が拡大している。子供たちに必要なのは(規制ではなく)リテラシーをつけさせること」と述べ、規制強化よりも情報リテラシー性教育の向上が重要と訴えた。

   一方、民主党は、小山議員が会派を代表して「作品の趣旨を十分にくみ取るなど不健全図書類の指定について慎重な運用を行うことと、青少年健全育成審議会を公開とすること」を都に求める意見を表明したものの、賛成に回った。また今回の条例改正案に反対する請願・陳述329件を採択するかどうかも審査されたが、賛成したのは吉田議員と西崎議員のみで不採択となった。

   これを受け、傍聴していた女性は「私たちはがんばって想いを届けてきたので、聞いた瞬間に悲しくなりました」「この件はむしろ女性に与える影響が大きい」と涙をこぼした。また別の女性は「何か私たちが悪いことをしているのかな」と目に涙をためながら、うつむいた。

   なお、ニコニコ動画は総務委員会のインターネット生中継を申し込んだが、都議会広報は「これまで生中継の前例がなく、取材の際には要望書も提出しないといけない。議員の承認が必要なため時間がかかる」と回答した。その結果、今日の中継は断念せざるをえなかった。

(三好尚紀、亀松太郎

ニコニコ生放送『採決直前!都青少年育成条例改正案・最後の主張』
 http://live.nicovideo.jp/watch/lv34395435
 (2010年12月19日までタイムシフト視聴できる)