101211kurishita.jpg   漫画やアニメの過激な性描写を規制する「東京都青少年健全育成条例」の改正案が2010年12月15日、都議会の本会議で採決される。13日には前哨戦となる都議会総務委員会が開催されるが、時事通信の報道などでは、6月議会では反対した民主党が賛成に回る見通しとされ、可決の可能性が高いといわれる。

   しかし民主党都儀の中には、こうした一連の報道に異を唱える議員もいる。栗下善行都儀は「殆どのメディアは賛成で調整済みという報道をしていますが、結論はまだ出ていません」とTwitterで発言している。

   同条例の改正案は2010年3月にも提出されており、「非実在青少年」という条文内の表現が、ネットを中心に大きな反響を呼んだ。世論の逆風もあり6月に否決されたが、石原慎太郎知事の肝煎りで条例改正が進められ、11月に「非実在青少年」という文言を削除の上、表現を改変して改正案が再提出された。しかし、「刑罰法規に触れる性交等」や「社会規範に反する表現」といった条文の文言に対しては、「かえって規制の範囲が拡大している」と、批判の声もあがっている。

■ 角川、講談社、小学館などが「東京アニメフェア」への出展拒否を発表

   こうした東京都の姿勢に対しては、漫画やアニメのファンのだけでなく、出版社も異議を唱えている。「涼宮ハルヒの憂鬱」など、数々の漫画・アニメ作品を手掛けたことで有名な角川書店は、2011年3月に開催される「東京アニメフェア」への出展中止を発表した。「東京アニメフェア」の実行委員長は、石原知事。角川書店井上伸一郎社長自ら「納得がいかない」とTwitterで発言したことでも話題になった。

   この動きに追随するように、講談社や小学館などコミックに関わる10社が条例改正の動きに抗議して「東京国際アニメフェア」への参加を拒否し、事態は東京都と漫画・アニメ業界の全面戦争の様相となっている。

   そして、都条例改正案の採決を目前に控えた12月12日、「2010年12月都条例を考える有志の会」は「採決直前!都青少年育成条例改正案・最後の主張」と題したイベントを開く。この問題に関心をもつ政治家や識者を集めて、「最後の主張」を語ってもらう。その模様は、ニコニコ生放送でライブ中継される予定だ。

(丹羽一臣)

「採決直前!都青少年育成条例改正案・最後の主張」(2010年12月12日14時~)